係り受けと付属語連糸2009年09月02日 15:09

我々の解析システムでは「係り受け」と「付属語連糸」とに分けて管理しています。

係り受けには「係り」、と「受け」の組み合わせで、「受け」の自立語の語幹までが収納してあります。それから後に続く付属語の連糸をまとめて収納してあります。「係り受け」の一番の機能は多義語の弁別です。例えば「高い」というよく使う形容詞でも次の二つの場合では異なった意味に使われています。反義語も異なります。

            反義語

 背が  高い    低い

 値段が 高い    安い

もう一つの機能は単語だけでは決められない「良しあし」を決定することです。「寿命」「長い」「短い」単独では良しあしの意味を持っていませんが、組み合わさると「良しあし」の意味が出てきます。

 寿命が   長い   (良い)

 寿命が   短い   (悪い)

次に付属語の連糸は「係り受け」に対して書き手の意図を与えます。また人称が推察できます。

   意図     人称     例

  願望    1人称   飲みたい

  意志    1人称   飲もう

  許可要求  1人称   飲んでかまいませんか

  依頼    2人称   飲んでください

  勧誘    2人称   飲みますか

  禁止    2人称   飲んではなりません

  確認    2人称   飲んだね

  伝聞    3人称   飲むそうだ

  疑問          飲めますか

  義務          飲むべきです

  譲歩          飲んでもかまいません

  推量          飲むだろう



用語はシソーラスで同義語などを拡張します。

意図の種類は、解析プログラムの適用分野によって、今後追加していきます。

良しあしは、付属語連糸が否定のときには逆になります。

実際には、「係り受け」と「付属語連糸」はここで述べたように独立して決められるものではなく、お互いに干渉する場合もあります。現在干渉する場合の規則を整理しています。



参考 益岡隆志 日本語文法の諸相 第7章 命題とモダリティの境界を求めて くろしお出版

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